コロナウイルス感染症の蔓延により第42回九州肝臓外科研究会学術集会の延期を余儀なくされましたが、引き続き当番世話人の大役をお任せいただけますことは、身に余る光栄に存じますとともに、本会の関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
令和2年から免疫チェックポイント阻害剤が肝細胞癌で保険適応となり、肝細胞癌の治療において肝臓外科医の果たす役割にパラダイムシフトが起きています。現在は肝細胞癌の治療においてターニングポイントの時代を迎えていると言っても過言ではないと考えます。本研究会は大きな学会では議論できない肝臓外科における細かい内容やコツを若手外科医も含めて共有・議論することのできる最適な場であると考えています。そのため、今回の研究会のテーマを引き続き百聞不如一見、百見不如一干としました。外科医なので手術を見ること、さらに実際に手術を執刀することが大事ですといった意味です。今回主に議論したいテーマは以下の3つです。セッション1 肝切除周術期の分子標的薬使用の経験:種々の分子標的薬でコンバージョン肝切除が可能となった経験・注意点などをご発表いただきたいと思います。セッション2 腹腔鏡下肝切除の限界:腹腔鏡下肝切除が適応拡大される中で患者さんにとって安全・確実な手術を行うことが最も重要と考えます。S7切除の工夫、再切除例に対する手術適応、逆にこれは腹腔鏡下では禁忌とした方が良い症例などを教えていただければと思います。セッション3 技術の伝承・こだわりの教育法:以前は若手外科医の執刀症例であった肝表面の部分切除、外側区域切除などは腹腔鏡下に行われることが多いかと思います。手術の機会がないために肝臓外科を志す外科医が根絶してしまわないように、若手外科医の執刀の機会を増やすための腹腔鏡手術あるいは高難度開腹手術における皆さんのこだわりの技術の伝承法・教育法をご教授いただき、会場で共有できればと思います。
コロナウイルス感染症の影響で、令和4年2月も本研究会が開催可能かどうかこのHPを作成している時点では、決定していません。演題登録準備にもなかなか皆様の気持ちが入らないことが予想されますが、開催決定の暁には皆様から多くの演題をご登録、本研究会で活発にご討論いただければと考えています。何卒よろしくお願い申し上げます。